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鶴岡蘆水

鶴岡 蘆水(つるおか ろすい、生没年不詳)とは、江戸時代中後期の浮世絵師。

師系不詳。通称は金次。翠松斎と号す。江戸下谷金杉に住み、天明(1781年 - 1789年)から文政(1818年 - 1830年)年間にかけて活躍した。天明元年(1781年)に刊行された、代表作『東都隅田川両岸一覧』(沢田東江題及び跋)の筆者として知られる(後述)。他に翌天明2年(1782年)刊行の彩色絵本『歌仙百錦集』も知られており、この作品は紅葉の百態に歌仙(俳諧)の言葉を添えた絵本である。

『東都隅田川両岸一覧』は隅田川の東岸と西岸とを乾坤二巻に描き分けた、木版手彩色の巻物(または折本)である。乾巻(東巻)は、正月で凧が上がった永代橋から川を上り、深川寺町、新大橋、一ツ目弁天、回向院、人々で賑わう夏の両国橋、紅葉の中の多田薬師堂と大川橋(吾妻橋)、雪景色の千住大橋と筑波山までを写す。坤巻(西巻)は、真崎稲荷(石濱神社)付近から川を下り、今戸町、煙が上がる今戸の瓦焼き、遠景の新吉原と金龍山聖天宮、花川戸町、浅草寺、大川橋、桜の上野、雨の両国橋、新大橋、花火の上がる中洲、紅葉の永代橋と佃島、雪を被った富士で終わる。乾巻は題字2枚と絵10枚、坤巻は絵18枚と跋文2枚の内容である。全巻の版刻は関根柯影により、黒い線のみを版刻し、その上に数色の筆彩を加えたものであった。

隅田川両岸一覧の版画としては、この作品をもって嚆矢とされる。ただし、本作の基本構成は、狩野休栄筆「隅田川長流図巻」(3巻、大英博物館蔵)に依拠しており、乾巻は中巻、坤巻は上下巻を参考にしている。跋文が行書体で記された、東洋文庫本、国文学研究資料館本、大倉集古館本の系統と、楷書体で記された国立国会図書館本の二系統あり、前者のほうが初印である可能性が高いとされている。

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